【ふみペン流・寄せ木ペンの作り方】
~10種類以上の木をつなぐ、世界にひとつのストーリー~
こんにちは、ともペンです。
今回は、私が特に力を入れて制作している「寄せ木(よせぎ)ペン」の制作過程について詳しくご紹介します。
寄せ木ペンとは、複数種類の木材を組み合わせて作る木軸ペンです。
色も木目も異なる木たちが、一本の軸の中に共存し、まるで“木のパッチワーク”のように調和する美しい作品です。
私はこれまで、最大で10種類以上の樹種を使った寄せ木ペンを制作してきました。木と木がつながる接着面の処理、素材の相性、割れ・歪みへの配慮……ただ削るだけではない、「木をつなぐ」という繊細な職人仕事がそこにはあります。
自然と技術が調和した、ふみペンならではの寄せ木ペンの世界を、どうぞお楽しみください。
■ 目次
- 寄せ木ペンとは? ふみペンのこだわり
- 使用する樹種の例(10種以上も!)
- 木の選定と素材の相性を見極める
- 貼り合わせ(接着)作業のポイント
- 成形〜削り出しまでの工程
- 研磨・仕上げ・オイル塗装
- なぜ寄せ木ペンを作るのか?制作の意味
- ふみペンの寄せ木作品例と今後の展望
- まとめ:木をつなぎ、想いをつなぐ
1. 寄せ木ペンとは?ふみペンのこだわり
寄せ木とは、異なる種類の木材を組み合わせて一つの作品を作る木工技法の一つです。
ヨーロッパでは「モザイクウッド」とも呼ばれ、家具や箱細工、象嵌などでも見られます。
ふみペンの寄せ木ペンでは、細い角材を数種類用意し、接着してから削ることで、一本のペンの中に複数の木が共存します。
木は生きていた証。
それぞれ育った場所も違えば、色味も手触りも異なります。そんな木々を**「つなぐ」ことに意味を感じて**、私は寄せ木に取り組んでいます。
2. 使用する樹種の例(10種以上も!)
ふみペンでよく使用する寄せ木用の樹種は以下のようなものがあります:
- 屋久杉(神秘的な縞模様と香り)
- 黒柿(墨絵のような縞模様)
- 桜(やさしい桃色)
- 欅(赤みがあり力強い)
- メープル(白く緻密)
- ウォールナット(深い茶色)
- 紫檀(濃い赤褐色)
- 花梨(硬く、赤みと虎杢が美しい)
- チーク(油分がありしっとり)
- 栗(軽やかで柔らかめ)
- 神代木(数百年土中にあった木材。灰色~黒味)
- パドック(鮮やかな赤橙色)
これらの木材を色味や木目のバランスを考えながら選び、組み合わせることで、ひとつの芸術品のようなペンに仕上げます。
3. 木の選定と素材の相性を見極める
寄せ木は「貼れば完成」というものではありません。
木には膨張・収縮の癖があり、湿度や気温によって反ったり割れたりする性質があります。
そのため、私は以下のような観点で木材の相性を吟味しています:
- 木目の方向をそろえる
- 比重・硬さ・油分の近い木を組み合わせる
- 色のグラデーションを意識して配置する
- 薄くカットして「見せ木」としてアクセントを加える
“つなぐ”前に、木と対話する——それが、ふみペン流の寄せ木です。
4. 貼り合わせ(接着)作業のポイント
寄せ木で最も神経を使うのが、「接着」の工程です。
ここが雑だと、削っている最中に割れたり、剥がれたり、隙間ができたりします。
- 木の表面をしっかりサンディングして平滑にする
- クランプを使って24時間しっかり圧着
- 木工用接着剤(タイトボンドなど)を使用
- 接着後は1日以上置いて乾燥させる
湿度や気温が高い日は、木が柔らかくなりすぎるため注意が必要です。
一本の芯材に何種類もの木を接着する場合、数日にわたる工程になります。
5. 成形〜削り出しまでの工程
接着した木材ブロックを、ペンブランクとして再カットし、穴あけ、芯入れ、旋盤加工へ進みます。
旋盤加工では、木目の違いによって刃の入り方が変わるため、力の入れ方をミリ単位で調整する必要があります。
たとえば、柔らかい屋久杉の隣に硬い花梨がある場合、刃が跳ねたり、段差ができやすくなります。
ここで求められるのは、繊細な感覚と集中力です。
6. 研磨・仕上げ・オイル塗装
削り終わった寄せ木軸は、まず中目〜細目のサンドペーパーで段差をならし、表面を滑らかにしていきます。
その後、以下のような工程で仕上げます:
- #240〜#2000までのペーパーで段階的に磨く
- 必要に応じて、ミニルーターで細部調整
- 亜麻仁油・蜜蝋でオイルフィニッシュ
- 最終仕上げに艶出しワックスで軽く磨く
こうすることで、木の質感と色が浮き上がり、美しい表情に変化します。
7. なぜ寄せ木ペンを作るのか?制作の意味
寄せ木ペンを作るのは、手間がかかり、失敗のリスクも高いです。
では、なぜ私がこれにこだわり続けているのか?
それは、「違うものがひとつになる」ことの美しさと希望をそこに見出しているからです。
育った場所も性質も違う木が、共鳴しあって一つの形になる。
それは、まるで人と人とのつながりのようにも感じます。
8. ふみペンの寄せ木作品例と今後の展望
これまで制作した寄せ木作品の中には、
- 10種類の木を使った「虹のペン」
- 土埋木と現代材を混ぜた「時の旅ペン」
- お客様の想い出の木(庭木、家具材)を含めた「記念ペン」
など、物語を込めたペンも多くあります。
今後はさらに、地域材(千葉県産の木など)を取り入れた地産地消寄せ木シリーズや、名入れ・家紋入りのギフト仕様などにも挑戦していきたいと考えています。
9. まとめ:木をつなぎ、想いをつなぐ
寄せ木ペンは、ただのペンではありません。
木の命と、作り手の手仕事、そして使い手の物語をつなぐ、あたたかい筆記具です。
時間がかかっても、効率が悪くても。
私はこれからも、「誰かの手にそっと寄り添う、世界にひとつのペン」をつくり続けていきたいと思っています。
次回は、「寄せ木の色合わせとデザインの考え方」についてご紹介予定です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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