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目次

  1. 実家の庭で見つけた一本の柿の木
  2. 黒柿とは?──自然が生んだアートの木目
  3. 木軸ペンとしての黒柿の価値と魅力
  4. 黒柿の木言葉「再生」「静けさ」「叡智」
  5. Instagramで黒柿ペンを公開中!

1. 実家の庭で見つけた一本の柿の木

先日、実家の庭で長年立っていた一本の柿の木を、試しに削ってみることにしました。
幹の外側は、どこにでもある普通の柿の木。けれど、ノコギリを入れて少しずつ削っていくうちに、中心部分に黒く波打つような模様が見えてきました。
「……これはもしや、黒柿?」
その瞬間、木工を続けてきた中でも滅多に味わえない驚きと感動が、心の底から湧き上がりました。
実家の庭に、まさか黒柿が眠っていたなんて。まるで、身近な場所に“宝物”が隠されていたような気持ちでした。


2. 黒柿とは?──自然が生んだアートの木目

黒柿(くろがき)は、柿の木の中でもごく稀に、内部に黒い縞模様が現れるものを指します。
これは染色や塗装ではなく、自然の中で数十年から百年以上かけて生成されるもの。黒い部分は、木の中で何らかの化学反応が起きて形成されたと考えられていますが、その仕組みはいまだに完全には解明されていません。

一本の木の中でも、黒い模様が出る部分はほんのわずか。つまり、黒柿は“自然が気まぐれに描いたアート”なのです。
古来より、黒柿は茶道具、刀の鞘、仏具など、格式の高い工芸品に用いられてきました。その独特な模様と深い色合いは、他の木では再現できない唯一無二の存在感を放ちます。


3. 木軸ペンとしての黒柿の価値と魅力

木軸ペンの素材として見ても、黒柿は圧倒的な高級材です。
柿の木は硬くて緻密なため、細かな加工にも耐え、艶出しをするとまるで漆のような深い光沢を帯びます。そこに黒い縞模様が加わることで、一本のペンがまるで絵画のように仕上がるのです。

木軸ペンの市場でも、黒柿は特別な存在です。
通常のウォールナットや花梨のペンが2,000円〜3,000円前後で販売されるのに対し、黒柿はその希少性から5,000円〜10,000円前後で取引されることもあります。
模様の入り方次第では、端材でさえ高値がつくこともあるほど。

ともペン工房でもこれまで様々な木を扱ってきましたが、黒柿の模様には他にはない“静かな力”があります。
光の角度で表情を変え、縞が金属のように輝く瞬間さえある。まるで木が「長い年月を語っている」ような深みを感じます。


4. 黒柿の木言葉「再生」「静けさ」「叡智」

黒柿には、「再生」「静けさ」「叡智」といった木言葉が伝えられています。
長い年月を経て、柿の木の内部に“黒”という深い色が刻まれる――その姿は、まるで人の内面が時間とともに磨かれ、静かな強さを得ていくようです。

削っているときの感触は、どこか神聖さを感じるほど。刃物を通すたびに、黒と茶のコントラストが浮かび上がり、自然の筆致に息をのむ瞬間があります。
この木から生まれるペンが、誰かの手の中で新しい言葉や物語を紡ぐ。そのこと自体が“再生”の象徴のように思えます。


5. Instagramで黒柿ペンを公開中!

ともペン工房のInstagramでは、この黒柿ペンの製作過程や完成品を紹介しています。
黒い木目がどのように浮かび上がるか、どんな角度で光を受けると最も美しく見えるか――写真と動画で丁寧に記録しています。

フォロワーさんからは「まるで墨絵のよう」「自然のグラデーションが見事」といったコメントも。
木の持つ静かな生命力を感じ取っていただけたことが、とても嬉しかったです。

Instagramでは他にも、屋久杉、パープルハート、黒檀など、さまざまな樹種のペンを日々紹介しています。
もしよければ、制作の裏側をのぞいてみてください。


→ ともペンInstagramはこちら Instagram


🌳おわりに

実家の庭の一本の柿の木を削ったことで出会えた、奇跡のような黒柿。
それは、長い年月を経て生まれた「自然の芸術作品」でした。

ともペン工房では、この黒柿を大切に加工し、一本の木軸ペンとして生まれ変わらせていく予定です。
手に取る人の中に、静かな喜びやインスピレーションが芽生えるように――そんな祈りを込めて、一本一本丁寧に削っていきたいと思います。

“木には、言葉がある。”
黒柿の深い模様は、静かに語りかけてくるようです。
その声を聴きながら、これからも制作を続けていきます。

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